top of page
検索

【コラム】地代の更新で揉めた場合は・・

  • 執筆者の写真: cu
    cu
  • 22 時間前
  • 読了時間: 4分

借地契約の更新時(あるいは契約期間中)に地主から「地代の値上げ」を要求され、その金額を巡って折り合いがつかずに揉めてしまうケースは非常に多く見られます。

地代の増減額については、借地借家法第11条に規定がありますが、一方的な通告だけで金額が決定するわけではありません。決裂した場合の実務的なステップと、絶対に避けるべき致命的なリスクを整理しました。


1. 揉めている最中の「最重要ルール」(借地人側の防衛策)


交渉が決裂したからといって、借地人が「じゃあ一切払わない」、あるいは地主が「値上げに応じないなら、これまでの地代は受け取らない」となってしまうのが一番危険です。

【最重要】「供託(きょうたく)」で借地権を守る地主が「値上げ後の金額じゃないと受け取らない」と従来の地代の受領を拒否した場合、そのまま放置すると借地人は**「地代滞納(債務不履行)」となり、借地契約を解除される正当な理由を与えてしまいます。 これを防ぐため、従来の地代(または自分が妥当だと思う金額)を法務局(供託所)に預ける「供託」**という手続きを行います。これにより、法律上「地代を支払っている」状態をキープでき、土地を追い出されるリスクを完全に防げます。
  • 結論が出るまでの支払額: 裁判や調停で正式な金額が決まるまでは、借地人は「自分が相当と認める額(基本的には従来の地代)」を支払い(または供託し)続ければ法的に問題ありません。


2. 解決に向けた法的手続きの流れ


当事者間での話し合いがどうしてもまとまらない場合は、以下の法的ステップへ進みます。


ステップ①:民事調停(地代確定調停)

地代の揉め事は、いきなり裁判(訴訟)を起こすことはできません。まずは必ず裁判所で話し合うことが法律で義務付けられています(これを調停前置主義と言います)。


  • 簡易裁判所に調停を申し立てます。

  • 裁判官と民間から選ばれた調停委員が双方の間に入り、土地の固定資産税の推移や周辺の相場、これまでの経緯などを考慮して、妥当な落としどころ(調停案)を提示してくれます。

  • 双方が納得すれば調停成立となり、確定判決と同じ効力を持つ「調停調書」が作成されます。


ステップ②:地代確定訴訟(裁判)

調停でもどちらかが首を縦に振らず不成立に終わった場合、最終手段として地裁または簡裁に訴訟を提起します。

  • 裁判では、不動産鑑定士による「鑑定評価」などをもとに、裁判官が法的な適正地代を判決として下します。

  • 差額の清算ルール: 判決によって新しい地代が確定した場合、地代の増額を請求された時点にさかのぼって差額を清算する必要があります。その際、不足分には年1割(10%)の利息を付けて支払わなければならないため、借地人側は敗訴した際の一括支払いのリスクを考慮しておく必要があります。


3. 「値上げが妥当か」を判断する3つの客観的要素


地主側から提示された金額が妥当かどうか、または地主側として値上げを正当に主張できるかは、主に以下の3点(借地借家法第11条の要件)で判断されます。

判断要素

具体的なチェックポイント

土地の税金の変動

土地に対する固定資産税や都市計画税が、前回の改定時に比べて著しく上昇しているか。(地主側のコスト増)

経済事情の変動

近隣の地価(公示地価や路線価)が上昇しているか、物価が著しく上がっているか。

周辺相場との比較

近隣の似たような借地の地代(類似インカム)と比較して、明らかに不相当に安くなってしまっているか。

まとめとアドバイス

地代の更新でもめた場合、感情的になって「払う・払わない」の押し問答を続けるのが一番の悪手です。

  • 借地人側: 地主が受領拒否した瞬間に「法務局での供託」の手続きへ動く。

  • 地主側: 単に「更新だから上げる」ではなく、固定資産税の納税通知書の推移や周辺相場など、客観的なデータを用意して交渉に臨む。


お互いに不動産会社や弁護士、土地家屋調査士といった専門家を間に挟み、周辺の「適正な地代水準」を客観的に算出してもらうことが、調停や裁判に至る前の早期解決への一番の近道となります。



 
 
 

コメント


bottom of page